「伝統的工芸品」について思うこと
前回は「伝統」というキーワードで時代の変化と共に必要な変化も
あるのではというような内容をだったが。
今回は、伝統的工芸品について考えることを書いていきたいと思う。
現在、伝統的工芸品は、経済産業省のHPによると、2019年11月現在で235種が
認定を受けている。
ところで、一般的に「伝統的工芸品」と呼ばれているのものは、伝統工芸品のなかでも、経済産業省の5つの条件をみたしているものがそう呼ばれることになっている。
これが、一般的に言われる「伝統工芸品」と「伝統的工芸品」の違いである。
具体的には、以下の5つが条件となる。(伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年法律第57号)より)
- 主として日常生活の用に供されるもの
- その製造過程の主要部分が手工業的(製品の持ち味に大きな影響を与えるような部分が職人の手づくりによって作られている)
- 伝統的な技術又は技法により製造されるもの(100年以上前から続いている技法)
- 伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるもの(100年以上前から使用されている材料)
- 一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているもの。(ある程度の規模を形成して作られてきたもの)
以上5つが認定のための条件であり、伝統的工芸品についての簡単な説明となる。
しかし、今、伝統的工芸品は、生活の様式の変化や、深刻な後継者不足などにより、産業は全体として衰退傾向にあるという。
皆さんは「伝統的工芸品」という、言葉を聞いて、どんなことを連想するだろうか?
自分で言えば、
”おじいちゃんおばあちゃんの家にあったもの”
”なんとなく和風のもの”
”美術品のような少し敷居の高いもの”
”良さを理解するには、少し難しいところにあるもの”
といったところだろうか。
しかし、今「伝統的工芸品」と呼ばれるものは、先に挙げた1つ目の条件のように主として日常生活の用に供されるものということが、条件なのである。
つまり、日常生活において使用されていなければ認定を受けられないのであり、本来皆さんの生活から遠い存在でないということが、大前提としてあるのだ。
もちろん、現在の生活にそれらが、合理的な意味や理由を持って
存在し続けるには、伝統的なものだからと言った理由だけでなく、時代に合わせた変化が必然なのである。
伝統的工芸品の作り手の中には、「分かる人だけが、分かればいい」
と言ったいわゆる「いいもの文化」のようなものがあるが、
そういった、作り手の一方的な考え方は、実際の消費者の生活に届かず、
廃業を余儀なくされるケースだってあるのだ。
前回の繰り返しにもなるが、伝統だからと言った理由だけで思考停止になってしまうのは、今の時代、生き残れないのではないかと思う、今日この頃である。
今の社会にとってよりよいもの模索して、それに対して変化を恐れない姿勢が大切であると思う